忍び寄るモノ


私達三人で見上げると岡本君はふい、と顔をそらしてしまう。

「ぶつかって悪かった」

「あ……っ」

岡本君は一言残してフラフラと歩き出す。どうみても大丈夫そうには見えない様子が気になったけど、近くを通り過ぎた生徒の「遅刻ギリセーフ!」と言う声に私達は慌てて校門へと走って行った。


***


荒木先輩の時と同じように全校集会が行われるかと思ったら安田君のお父さんとお母さんの意見で全校集会は行われないことになった。

後に行われる葬儀も荒木先輩と同じく近親者のみで行いたいと言っているらしいと私達は教室で先生から話を聞くだけで終わった。

朝のホームルームが終わって先生が教室を出て行っても誰も席から立ち上がらない。

「次は二年の誰かなんじゃないのか?」

シンとした中で誰かが震えた声で静けさを破る。すると教室は一気に騒がしくなった。

「どうしよう!」

「わたし達殺されちゃうの!?」

「マジヤバいって……」

みんなの不安そうな声が次々飛び出していく中、いきなり声ではない音が響いて私は体をビクつかせてしまう。

それから音がしたほうに顔を向ければ音をたてたのは岡本君で、椅子から立ち上がった岡本君に隣の席の人が声をかけているのが分かる。

けれど岡本君は声をかけられていることに気づかないように椅子から離れ、フラフラと教室を出て行ってしまった。