忍び寄るモノ


「ここまで来ればみんないるし大丈夫だろ。先輩に用事あるから先に行くな」

「うん。ありがとね」

「ありがとう。話せて楽しかったよ」

生徒玄関に着いてすぐに岡本君と別行動になることになった私達は順番にそう言って別れる。

「また後で」と岡本君はまわりにいた他の生徒の間を通って見えなくなった。

「やっぱり荒木先輩って誰かに襲われたらしいよ」

「テレビのニュースでやってたよね。だけど犯人の手がかりはいまだになしだってー」

「気味が悪いよね……」

玄関の近くにいる生徒達の話は荒木先輩のことで持ちきり。

何者かに襲われた、犯人はまだ捕まっていない、誰かから恨まれていたらしい、そんな話があたりに飛び交う。

私が耳をすませていると近くにいた奈々ちゃんが嫌そうに眉を寄せた。

「しばらくみんなの話題は荒木先輩の事件なのかな……」

「多分そうだと思う。校内であったことだからね……」

今日は保護者説明会が行われる予定だからなおさらだと思う。

普段集中力が切れて怒られやすい私が思うのも変だけど、しばらくはみんなも授業に集中できないんじゃないかな?

どうか各教科の先生が宿題を出しませんように。

私は心の中でそっと願った。