忍び寄るモノ


「昨日何回か家にかけさせてもらって繋がらなかったから直接来てみたんだけど早く来てよかった」

リュックを片方の腕だけ通して肩に背負っている岡本君は朝の早い時間なのに昨日の学校帰りと変わらない様子で言う。

岡本君は朝が強いのかな?

早く寝て早く起きた私はまだ眠いけど岡本君は眠くなさそうに見える。

「ごめんね? 昨日お母さんが誰かと長く電話してたみたいだから……」

「いや、急だったからしかたないって。……っと遠藤さんのところにも寄るからそろそろ行くか」

「あっ、ちょっと待って」

すたすたと学校があるほうに歩き出した岡本君の後ろを慌てて追いかけた。


***


奈々ちゃんと合流して三人で学校へと向かう。

同じように通学路を歩いている生徒は何人かずつまとまりながら歩いていて、時々同じクラスの人が見慣れない組み合わせでいるのを見かけると妙な感じ。

私達三人も他の人から見たら同じなのかな。

岡本君はいつも何人かの男子といる印象があって、女子といても男子が岡本君一人というのは日直とかの係りの時くらいしか見たことがないかも。

だけど今歩きながら奈々ちゃんと楽しそうに話しているみたいだから女子が苦手でもなさそうだ。

私は少し前を歩く奈々ちゃんと岡本君から視線を外して空を見上げてみる。

昨日は青空が広がっていたのに今日はどんより曇り空。

ムシムシと蒸し暑くて体から汗が出ているのが分かって朝からちょっとヘコんだような気分。

教室で感じられるだろう気持ちいい冷房の風を恋しく思いながら私は黙々と足を動かした。