あれから1年が過ぎた。


結局、彼に話しかけることはできなかった。教室の端から眺めるだけ。


彼の目に力が宿っていくのを見ていた。
なにか心境の変化でもあったのだろう。

本の感想を語りあったり
話したいと思うことはたくさんあったけど

自分はきっと彼の眼中には入っていない。



いつか、また、図書館であった時、

『あの時、好きだったんだよ。』

と伝えられたらいいなと思ってる。



話しかけてもいいって言ってたんだから
別に、告白でもいいよね?




あと、私は少し、変わったと思う。


美咲ちゃんから、離れた。


思っていたより、簡単だった。


最初の方は辛いことも戸惑うこともあったけど、今ではもうちゃんと自分を見てくれる友達と出会えた。


彼がくれた、弱さのなかにはほんのちょっぴり強くなれる薬もはいっていたのかもしれない。



将来したいことはまだ見つかっていないけど、私は大学に進もうと思ってる。


もっとたくさんの人と出会って
彼のことなんて、忘れてやる。




そんな人生もなかなか、いいのかもしれない。











《終》