少しの間沈黙が続いた。
先に切り出したのは巧。
「わかった」
そう言って、すっと立つ。
巧…。
あたしに言うことないの?
そんなんでいいの?
「俺、さ。
ずっと紗耶香が好きだったんだよ。
だからおまえが先輩を好きなのも知ってる。
あの人が好きなんだろ?
あ、ほら。こっちに気付いた。行けよ。」
なんと今日もお祭りに先輩は着ていた。
ごめんね?
巧…。
「あ、別れたら戻ってこいよ」
そう付け足してあたしの背中を押した。
巧、ありがとう。
あたしは先輩のとこへ走りだした。
「おい、アイツ誰?」
先輩は不機嫌な様子。
あたしがおどおどしているとこっちを向いて
ばーか!嘘だよ!
笑って言ってくれた。
そして触れるか触れないかくらいの優しいキス。

