―ピンポン
「あっ!巧だ!」
あたしはちょうど支度が終わったので急いで玄関に向かった。
―ガチャ
「お、浴衣じゃん。…行こう」
巧の手がそっとあたしの右手にきた。
今日が最後なんだ…。
そう思い、いつもはしない恋人繋ぎをした。
* * *
お祭りで屋台を回ってる最中、巧が急に腕を引っ張り出した。
「えっ!?なに!?」
巧は何も言わなかった。
そのまま静かな場所へ連れて行かれる。
「俺に、何かいうことない?」
時刻は9時。
もう帰らなきゃいけない時間。
あぁ、そっか。
巧は気付いているのかもしれない。
「巧、別れて」

