「オレが……女……」
英桃も押し上げてくる怒りに震えていた。
「この恨みは必ず……英桃、その時は僕を止めないでよ」
「ああ、止めないよ止めるはずないじゃないか南天。オレも君と同じ気持ちなんだから……」
「あ、あの……」
怒り狂う英桃の背後――声がする方向を振り返れば、そこには薄花桜のような可憐な彼女が困惑した面持ちで英桃らを見ていた。
その姿は不安気で、どうしてか放っておけないと感じた。
英桃は若侍への怒りを忘れ、少女に目を奪われた。
「あ、ごめん。えっと……大丈夫だった?」
英桃は彼女の物腰に見惚(みと)れていたから、やっとのことで声をふりしぼった。
「助けてくれてありがとう」
肩まである薄茶色の髪がふんわりと風に舞う。その可憐な雰囲気とは別に、少女の顔には思いつめたものがあった。
彼女は計り知れない重たい何かを背負っている。それに気づいた茜も若侍の怒りを静めて少女に問うた。



