南天もまた、その少女と見紛うほどの容姿ゆえに英桃と同じく『娘』などという言葉が禁じ句であったのだ。
「さようさよう。あんな猿と一緒にいるよりも儂らがお前達を交互でうんと可愛がってやろう」
「今夜は豊作じゃのう」
なんとも空気を読まない若侍共だ。彼らは三度失言した。彼らが指さしたのは英桃の背後にいる茜だ。
「猿? ……俺がか?」
その言葉に反応したのはやはり茜だった。彼の脳裏にバナナを持った元気な猿が過(よ)ぎる。
「……こんな奴らと行動を共にしようとした僕が浅はかだったよ」
英桃の隣では、南天がどす黒い殺気を放っている。
「いやしかし残念だ。儂らは今、京に御座(おわ)す御方、蘇芳(すおう)様よりたっての願いで鬼討伐へ向かう途中。お前達の相手をしてやるほど暇ではないのでな? 猿なんぞ捨てて、もう少し女を磨いてから訪ねて来い」



