言い放ったその言葉は英桃の耳にしかと入った。
「…………こ、小娘……ら?」
若侍の言葉によって英桃の体中に流れている血がざわりと蠢(うごめ)きはじめる。
『小娘ら』どうやら若侍が告げたその言葉は少女のみではないようだ。その証拠に、若侍の、怒りに血走った目が少女のみならず英桃をも捉(とら)えていた。
『小娘』
それはいわずもがな。英桃の禁じられた言葉だったことは言うまでもない。
なにせ英桃は、睫毛(まつげ)は長く、憂いを持った面持ちをしている。それに加えて体格も茜よりずっと華奢(きゃしゃ)で、いくら体を鍛えようとも彼のような逞しい体つきにはならなかった。そのおかげで、村の者にはよく女子(おなご)のようだと揶揄(やゆ)されるのは日常茶飯事であった。それだけに、若侍が言い放った言葉が氷の刃となり、英桃の傷ついている心に深く突き刺さる。



