英桃は年齢は十ほども離れていよう若武者姿の男におくびにも出さず、言い放った。
「貴様、無礼であろう、儂に意見するというのか」
若侍は英桃の態度が癪(しゃく)に触ったらしい。眉尻を上げた。
そして若侍は英桃と少女の目と鼻の先まで歩み寄ると、二人を見下ろした。そうかと思えば、若侍の表情は一変する。への字に曲がった唇はにやりと笑みを浮かべ、下卑(げび)た表情を見せる。
「これはこれは。よくよく見ればなかなかの美形。将来が楽しみじゃのう。どうだ、この儂が女にしてやろうか? うんと可愛がってやるぞ?」
若侍の、二人を見定めるじっとりとしたその視線がなんとも気持ち悪い。彼の手が少女の顎に触れた。
「いやっ!」
よほどの心地悪さだったのだろう。少女は若侍の手を振り払う。それが彼を怒らせた。
「せっかくこの儂が可愛がってやろうと言うに、小娘ら風情が!」



