しかし、である。茜にはどうしてもそのことが許せない。それというのも、南天の薄い唇は相変わらず弧を描き、笑みを浮かべているからだ。
「茜が鬼退治だってっ!!」
そしてふたたび大声で笑う。その笑い声は山々を通り抜け、都の京にさえも届きそうな程だ。
なおも言う南天に、茜は耳まで真っ赤にして怒鳴った。今にも噴火でもしそうな勢いだ。
「だーーーーーっ! もういいだろ、笑うなよっ!!」
英桃は真っ赤になって怒る茜と茶化す南天を、ただ微笑ましく見守っていた。
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