「ほら、茜。謝りにいくぞ」
ずるずる、ずるずる。
南天は茜の襟足(えりあし)を摘み上げ、引きずりながら進んでいく。
「助けてくれ、ゆすらうめ」
茜は南天に引きずられながら英桃に助けを求める。
しかし、こればかりは助けようもない。身から出たさびとはまさにこのことだ。茜には悪いが、いい機会だ。海印さんにはこってりとしぼってもらおう。英桃は引きずられていく茜の姿を見守る。
「ところで茜、お前はまだ英桃のことを幼名で呼んでいるのか。英桃は元服したんだ。いい加減やめろよ」
「いいじゃねーか! 別に中身が変わるわけでも無し」
「ちっともよくないっ!!」
南天と茜の交わされる言葉に英桃は苦笑を漏らすのであった。



