蜘蛛の巣にかかった蝶のようで



どうして私はあんなにあんなにひどいことをされたのに、築山君を嫌いになっていないのだろう。

さっきの泣き顔が頭から離れない。

真っ直ぐ私を見る瞳が頭に残っていて。

……あんなに最低なキスも……唇の感触が……ぬくもりが……まだ覚えている。

「や、やだ……あたしは……幸也が大切で……。」

口に出さないと忘れてしまいそうだった。

あんな一瞬の出来事でここまで築山君で頭がいっぱいになっていることに対してまた、恐ろしさを感じた。

涙でぐちゃぐちゃになったメイクを鏡で見る。

ひどく疲れた顔をしていた。

思わずため息が出る。