キミがこの手を取ってくれるなら


奏ちゃんは黙って私の話を聞いてくれた。

香織さんとの会話も話したけど『あなたは相手にされてないの』と言われたことだけは奏ちゃんには言えなかった。

話し終わると「で、それきり純のとこには行ってないんだな?」と奏ちゃんが聞いた。

「うん。心配だったけど、どうしても行けなかったの…」

たぶん、じゅんたは私が声をかけたのには気づいてないと思う。けど、様子を見に行って香織さんともう一度顔を合わせるのだけは嫌だった。

「分かった。これから純のとこ行ってみるよ。俺も心配だし、いろいろと言いたいこともあるしな。……でも、奈緒を不安にさせるようなことは、あいつは絶対にしないと思う。」

「…そうかな?」

「今いろいろ言っても、奈緒も落ち着かないだけだし。今は身体を治すことだけ考えて。『片付いたら』また教えてあげるよ。」

そう意味深に言って奏ちゃんは笑った。
なかなか意地の悪い笑顔だった。


…片付いたら??何を?!


いろいろと疑問だったけど、戻ってきた母と入れ違いに「そのうち分かるよ。お大事にね。」と言って奏ちゃんは帰って行ってしまった。