キミがこの手を取ってくれるなら


朝出社すると、すぐに私は北原さんに捕まった。
「おーー姫!思いきったなぁ!さ、ミーティング、ミーティング。」とぐいぐいとミーティングルームに押し込まれる。

「北原さん…」

「髪はばっさり、目は真っ赤に腫れて、すっぴんの目の下にはクマ。失恋フルコンボだろ。」

ちょーっと待ってろ、と言いそのまま部屋を出ていく。戻って来たその手には、おしぼりと缶コーヒーが握られていた。

ほれ、とおしぼりを持たされる。
え?と思っていると「目の腫れは、温かいのと、冷たいのを交互にあてると早く直るんだよ。何だ、知らなかったのか?」

…はい、知りませんでした。
ありがとうございますとお礼を言いながら、タオルを目元に当てる。温かくて気持ちいい。

「まぁ、あんなイイ男に恋してたんだったら、なかなか他には目も向かないだろうしなぁー。目を腫らすほど泣いたことも無かったんだろ?」

…やっぱりバレてた。


私は、ずっと奏ちゃんに片想いをしていたことと、志帆さんとの婚約をずっと予感していたことを話した。