キスされるかと思った……
動揺を隠せないまま、私はじゅんたの後を追いかけた。
それから、車内では一言も会話のないまま家に着いた。
「…ありがと」とお礼を言って車を降りた私に、「小5くらいの時の奈子の髪って、これくらいの長さだったよな?」と肩くらいで手をヒラヒラさせてじゅんたが聞いた。
記憶を辿って考える。
「うん。…たぶんそうだと思う。」
私が答えると「今の髪型も似合ってるけど、伸ばしてみたら?俺、あれくらいの長さ好きだったんだよなー。久しぶりに見てみたい。見せて。」と言われた。
うん、ともううん、とも言う前に、車は走り出した。
私はじゅんたの車のライトが遠く、見えなくなるまでその場から動くことができなかった。
