キミがこの手を取ってくれるなら


じゅんたのアパートの前に着くと携帯を取り出し、履歴からすぐに番号を呼び出した。

居なかったらそのまま帰るつもりだったけど、じゅんたは家にいた。アパートの前にいると話したら「急にどうしたんだよ?」と驚きながらもすぐに外に出てきてくれた。

私の姿を見て、じゅんたは驚いていた。
「話がしたかった。それだけだよ。」私は一言だけ言った。

じゅんたは あぁ、と息を吐き「聞いたんだろ…」と言った。

「うん。じゅんたはいつ聞いたの?」

「先週の金曜日。中学の同級生何人かで集まって飲んだんだ。…そんとき奏がこっそり話してくれた。」

そう話しながらもじゅんたの視線は落ち着かなかった。じろじろと私の目元を見た後で肩あたりに視線を落とす。たまらず「もぅ、何よ?どうしたの?」と聞いた。

「いやその髪型懐かしいな、と思って。」

確かに小さい頃はこんな前髪を揃えた短めのショートカットだった。さっき鏡を見たときも昔に戻ったみたい、と思っていた。

「髪切ったの紫だろ?あいつも飲み会にいたんだよ。」

紫ちゃんは小学生の頃の私を知っている。
いつも近所の公園で遊んでいた友達の1人だったから。

話をしている奏ちゃんとじゅんたを見て何かしら気づいたのかもしれない。そして、突然髪を切りたいと言ってきた私を見て全ての事情を悟ったのかもしれないと思った。