紫ちゃんは躊躇わず、すぐに首近くの髪に手をかけて切りはじめた。
シャキン、ジョキ
シャキン、ジョキッ
ハサミが開かれる音と、髪の毛が切られていく音だけが部屋に響いていく。
その音を聴いてるうちに、私の目に無意識に涙が浮かんでくるのが分かった。
涙が頬を伝っていくのも構わずに、はらはらと涙をこぼす。すすりあげては、また泣いた。
「はい」
紫ちゃんがタオルを差し出してくれた。
そのままタオルに顔をうずめた。
紫ちゃんの優しさを感じて、また涙が滲んできた。
30分後、腰まであった髪は肩より短いショートカットに変わった。
鏡に映る自分は、まるで知らない人のようだった。目は泣きすぎて真っ赤で、まるでウサギみたいだ。明日は腫れるに違いない。化粧も取れて、すっぴんの幼い顔だちが現れていた。
「さ、今日はもう行きなさい。」
てっきり、このまま今日の話を聞かれるんだろうと思っていた私はえ?と聞き返した。
「うーん…何だか順番が違うような気がしたからね。私は後でいいよ。」とだけ言われて送り出された。
私はすぐに自転車をこぎだした。
携帯を手に取る時間も惜しかった。
…じゅんたと話がしたい。
