キミがこの手を取ってくれるなら


それからは、カウンターで私達の話を聞いていた陽介さんと、北原さんも加わり、店内はお祝いの声に包まれた。

式は奏ちゃんがパティシエとして一人前になった頃に挙げるらしいけれど、今婚約したのは7歳年が離れている志帆さんへの気づかいだと思った。その誠実さが奏ちゃんらしい。


生地を扱うから、指にはつけられないんだけどね…と言いながら、ネックレスのチェーンに通して身につけている婚約指輪を見せてもらった。
少し幅広のシンプルなシルバーリングの中に埋め込まれている小さなダイヤが、まるで星空のように散りばめられているデザインだった。

「天の川、みたいですね。」

そう言った私に分かってくれた?と微笑んだ志帆さんは、とてもしあわせそうに見えた。


***

「Milky Way」を後にして、すぐに私は電話をかけた。かけた所は「marble」。紫ちゃんが勤めているヘアサロンだ。電話に出た店員さんにお願いして紫ちゃんに替わってもらった。

「もしもし奈緒子ちゃん?どうしたの?」
と紫ちゃんが言い終わらないうちに、私は話をはじめた。


「髪を切ってほしいの。…できれば今日中に。」