キミがこの手を取ってくれるなら


もちろん、パンとの相性だって抜群だ。

お互いの持ち味を壊さないように2人で相談しながら作り上げているのだろう。

美味しい、美味しい、とにこにこしながら食べている私を2人は同じような笑顔で見ていた。

「取材先でこうやって食べたりはしないの?」
と志帆さんが訊く。

「はい。試食程度にいただきますけど、こうしてゆっくり座ることはないですねぇ。半日で3、4件は取材しますから。」

「奈緒なら大丈夫なんじゃないか?だって『大食い姫』だもんな。ケーキとパン一つずつで足りたのか?」と奏ちゃんがからかう。

だから、その話題はもうやめて欲しい。

「もぅ、奏一ったら。からかうのは止めなさいよ。」と志帆さんがたしなめると、「ごめんごめん。」と奏ちゃんが笑う。


「Milky Way」に通ううちに気がついたこと。

仕事をしている間は志帆さんは奏ちゃんの師匠のようなものだけど、こうして仕事を離れた2人の関係は対等になっていた。

いつしか奏ちゃんは志帆さんに敬語を使うのをやめていて、お互いに名前で呼びあうようになっていた。


…つまりは、そういうことだ。
2人は恋人同士になったのだ。