キミがこの手を取ってくれるなら


中央のショーケースには、パンの他に少しだけどケーキが並んでいる。はじめてここに来た日、ショーケースの中に志帆さんが作ったキラキラのパン達の横に、同じように色とりどりでキラキラとしたケーキ達が並んでいる様子を想像したことを思い出した。


『将来はここにケーキを置きたい』


あの時志帆さんが語った夢を叶えたのは奏ちゃんだった。いや、奏ちゃんの志帆さんの夢を叶えてあげたい、という気持ちが2人の距離を近づけ、いつしか1人の夢は2人の目標へと変わっていったのだろう。


手と手を取り合って、目標に向かって進んでいく2人はほんとうに素敵で、お似合いに見えた。


帰り際、北原さんが気を利かせてくれて私は2人と少しだけ話をした。

一つずつ、ケーキとパンを選ぶ。ケーキはシンプルにショートケーキ、パンは甘いケーキとは反対に、ベーコンとチーズが入ったエピを選んだ。カフェスペースに移動すると北原さんはカウンター席に座り、陽介さんと話しはじめた。


私は2人と向かいあって、テーブル席に腰かけた。ここに来た時は陽介さんとお喋りしたいので、いつもカウンター席に座る。何度も来ているけどテーブル席に座ったのははじめてだった。