キミがこの手を取ってくれるなら


「志帆さん、フォローしなくていいっす…でも、お嬢さんはクマさんの気持ちなんていつまでも気が付かなくて、ありがとーなんて言われて陽気に歌って終わりなんすよ。」とじゅんたが訳の分からないことを呟いた。

どういうこと?

みんなはニヤニヤしている。
私だけ?分かってないのは?

「がんばれよー。くま。」

「奏!お前は頑張れなんて思ってないだろ!さっきだって、思いっきり爆弾落としやがって…」

「ま、俺からの最後の意地悪だな。」

2人は勝手に話を進めてるし…もぅ、何よ。全然訳分かんない!


「ねぇ、みんな何の話してるの?」
と私が口にすると、みんなが一斉に驚いたような顔になった。

「これはこれは…」

「相当ね」

「そうでしょう?奈緒は小さい頃から、ずーっとこんな感じなんですよ。」なんて言いながら。

「…奈子が何にも分かってないって話だよ。」
最後にじゅんたがため息混じりに話すと、みんなは一斉に笑った。

今のが、何で私の話になるの?!
私の頭の中ははてなでいっぱいになった。

「奈緒子ちゃんは、羨ましいくらい素直ね。そのままでいいのよ。そのうち分かるわ。」と志帆さんに言われ、それきり、クマさんの会話はどこかに行ってしまった。

それからは「Milky Way」の話になった。
去年念願だったカフェを開いたこと、今はパンだけで営業しているけど、将来 ケーキも置きたいと思っていることを聞いた。

そういえば、ケーキのショーケースにどうしてパンが?と最初は思った。周囲に棚もあったから。飾り棚にしては幅があったので、最初はそこにパンが置かれる予定だったのだろう。

私はあのショーケースに色とりどりのケーキが並んでいるところを想像してみた。うん、確かにそれは見てみたいし、食べてみたい。


どうしてケーキを置けなかったのか気になったけど、その部分だけ2人ともやけに淡々と話していたので、それは聞かないほうがいいんだろうな、と思った。