キミがこの手を取ってくれるなら


陽介さんは、エスプレッソの上にミルクを注ぎ、ふわふわのミルクの泡を作るとすぐにそれをすーっと撫ではじめる。あっという間にカップの中にハートの模様ができた。

「わぁ、すごい!」感動した私は、じゅんたの分も勝手にお願いした。

陽介さんは「かしこまりました」と笑いながら注文を受けると、またあっという間に2杯目のラテを作った。カップの中には可愛らしいクマが笑っている。

「お二人のイメージで作りました」陽介さんがそう言うと、

「俺、クマですか?」とじゅんたが不思議そうに聞いた。

「お前『森のくまさん』みたいだもんな」笑いながら言ったのは奏ちゃんだ。

「何だよそれ?似てるってことか?」
とじゅんたが聞いたら「お人好しってこと。もしくは『イイヤツ』だな」と奏ちゃんがすぐに言葉を返す。

森のくまさんっていうよりは、小さい頃はふくふくしていて某ランドの赤いTシャツの黄色いクマさんに似てたけどなーなんて懐かしく思いながら、私は2人の会話を聞いていたけど、どうやら、じゅんたは面白くなかったようだ。

「ひでー」と抗議の声をあげる。

そんなつもりで描いたんじゃないよー、と陽介さんが笑いながら言ったけど、じゅんたはすっかり拗ねてしまった。


「あら、お嬢さんにとってはクマさんは『お人好し』じゃないんじゃないの?」そう言葉を続けたのは志帆さんだ。

「大切な落とし物を届けてくれるんだもの。ずーっと追いかけてくれてね。私がお嬢さんだったら、クマさんに恋しちゃうかもしれないわ」