キミがこの手を取ってくれるなら


「陽介さん、余計なこと話してないでしょうね?」と言いながら、接客を終えた奏ちゃんが私達のところにやって来た。

「んー?奈緒子ちゃんと純くんにご挨拶してただけだよー。小山くんの自慢の幼なじみのね。」

「余計なことなんて話してないよ。小山くんに友達が少ないって話したくらいだけどー?」

…そんなことは一言も話してないよ。

「余計なことじゃないですか!まぁ、少ないことは否定しませんけど。」
と奏ちゃんが言った。いっつも回りに人が…と言うか女の子達が集まってるようなイメージなので、友達が少ないって、なんか意外だ。


「ま、女友達は多そうだけどなぁ。」と奏ちゃんの言葉を受けて、ニヤニヤしながらじゅんたが口にする。

…おんなじこと考えてた。


その言葉と私の反応に眉に皺を寄せながら、

「お前には言われたくないよ。『カオリ』ちゃん。」と、奏ちゃんがじゅんたに言い返した。


「奏っ…!えっ…?!どうしてそれを?!」
じゅんたが驚いて固まった。アタフタ、という音が聞こえてきそうなほど動揺している。


「俺に隠し事なんて出来ないんだよ。」奏ちゃんはそう言うとニヤリと笑った。

美形がニヤリと笑うと、かなりの迫力がある。そしてそのまま、他の席に呼ばれていなくなってしまった。…言い逃げだ。


じゅんたは首まで真っ赤になってカウンターに突っ伏してしまった。…何それ。怪しすぎるんですけど。