キミがこの手を取ってくれるなら


ムッとしてるとこ、見られちゃったかな…
恥ずかしくなって目を伏せると、お兄さんは

「どうも。藤井 陽介(ふじい ようすけ)です。キミは来てくれたことがあるよね?お嬢さんは奈緒子ちゃんだね?はじめまして。」とじゅんたと私とを交互に見ながら挨拶してくれた。…この人も私の名前を知ってるのね。


陽介さんがにこりと微笑む。眼鏡の奥の目じりに笑いじわが見えた。優しい顔立ちの人だ。

ふと思う。ふじいさん?志帆さんと同じ名字だな、と思い聞いてみる。

「志帆さんは奥さんですか?」


「いや。俺は志帆の兄です。残念ながら、二人とも独身ですから。」そう言って笑った表情は確かに志帆さんとよく似ていた。


陽介さんの淹れてくれたコーヒーは、どこが違う、とかは分からないけど、普段コーヒーショップなんかで飲んでいるものの数倍は美味しかった。


「美味しい!」と言いながらも、しあわせな気持ちでパンにかじりつくと、あっという間にお皿の中は空っぽになっていった。

「細いのに、よく食べるねー。」と陽介さんが驚いていた。

「いやぁ、奈緒子ちゃんのイメージ変わっちゃったなぁ。」

…だから、普段どんな話を聞いてるんですか…