キミがこの手を取ってくれるなら


奏ちゃんの部屋は少し広めの1LDKで、グリーン系のカラーでまとめられた部屋はよく片付けられていて清潔感があった。

その部屋に、なぜか今じゅんたと二人きりでいる。

「悪い!急にバイト頼まれた!」

奏ちゃんからの着信があったのは、車内の沈黙と居心地の悪さに耐えきれなくなった時。
助かった!と思いながら電話に出るなり、そう言われた。

私達が奏ちゃんのアパートに着き、部屋に通されると会話もそこそこに、

「ま、適当にくつろいで時間潰してて。家が退屈だったら出ててもいいから。」とじゅんたに鍵を渡して奏ちゃんはバイトに行ってしまった。


完全に肩透かしだ…


ほんと、奏ちゃんは罪なオトコだ。
人が、どんな気持ちでここに来たと思ってるのか。
ここに、と言うか奏ちゃんに会うまでにいろんな気持ちが入り交じって、しかもいろんなこともあったから余計に足が向かず、来ることもできなかったいうのに。

久しぶりだからいっぱい話したかったけど、後ろめたい気持ちもあって、言葉にできないほどドキドキしていたというのに……


そしてさっきの会話の後でじゅんたと二人きりにされるのも正直キツかった。

じゅんたは床に座ったまま、ソファーに腰掛けた私のほうを見ようともしてくれない。
私は奏ちゃんの部屋で「適当にくつろぐ」こともできず、ただじっと座っていた。