新学期がはじまると、教室の中にいるのがとても憂うつになった。
三浦くんは、女子からも人気があったので、私に向けられる視線はだんだんと冷ややかなものに変わっていった。
今までは何か嫌なことがあった時には、奏ちゃんの顔を見るとそんなことがどうでもいいくらい幸せな気持ちになれたし、いつもじゅんたがそれとなく不満を聞いてくれていたので、そんなに悩むことはなかった。
ただ、今回のことだけは、じゅんたにも相談する気にはなれなかった。
クラスでは、特に愛ちゃんからの冷たい視線に悩まされた。彼女は、三浦くんのことが好きだったのだ。三浦くんと付き合う前から、それは何となく分かってはいた。
今日だって「恋愛相談」なんていうのは嘘で、ただ私を非難したいだけだというのはよく分かっていた。
彼女は私と同じ中学校だったから、私が誰を好きかなんてことはとっくに知っていて、三浦くんの気持ちを踏みにじった私にずっと腹を立てていたのだろう。
三浦くんには本当に悪いことをしたと思っていたけれど、愛ちゃんには悪いことはしていないし、言われる筋合いもない。それが私の正直な気持ちだった。
「何よ偉そうに。自分なんてずっと小山先輩に相手にもされてないのに、ばかみたい。」
私は、その一言にキレた。
「…あんたには言われたくないっ!!三浦くんに相手にされなくて、私にあたってるのは、誰よっ!!」
そして、そのまま教室を飛び出した。
今日のケンカは、お互いの気持ちが行き場を失って、とうとう溢れ出てしまったものだった。
……奏ちゃんのことを諦め切れないまま、他の人と付き合って、あげくに身体を許しそうになったなんてじゅんたには絶対知られたくなかった。
「もうその話はしないで。」
私は、それきり口をつぐんだ。
あんなに優しかった車内の空気は重苦しいものに変わっていった。私は、じゅんたの顔が見れず、そっぽを向いたまま、落ちつかない時間を過ごした。
