キミがこの手を取ってくれるなら


奏ちゃんに会える。
嬉しい気持ちはあった。でも、今日は奏ちゃんにも、じゅんたにも会いたくなかった。何で…何でよりによって今日なのよ…


混乱しながらも洋服を選ぶ。厚手のロンTにカーディガンをはおって、下は最後までスカートを履こうかどうか迷ったけど、結局ジーンズにした。

じゅんたには、張り切っていると思われたくなかった。


下に降りると、母が「どこかにでかけるの?」と聞いてきた。

「奏ちゃんとこ。じゅんたが連れてってくれるみたい。」

それだけ言うと、母は特に驚いた様子もなく「ふーん。そう。」とだけ言った。

それから「明日は土曜日でしょ?あんま遅くなるようだったら、泊めてもらいなさいよ。」とフフフ、と意味ありげに笑いながら言った。


「はぁー…小さい頃じゃあるまいし…年ごろの娘に言う?それ?」


私が呆れながら言うと、母は「間違いがあっても、奏一くんなら大歓迎だわ」とまた笑いながら言い、「あぁ、純くんでもいいけどね~。」どっちに転んでもいいわ、とまで言いはじめた。


母の冗談をとても聞いていられる心境ではなく、何よりこのまま聞いてるととても面倒な話になりそうだった。

「行って来ます!」と母の言葉を途中で遮って、私は玄関を飛び出した。