キミがこの手を取ってくれるなら


高校生になって、奏に彼女ができた時、何にも聞いてなかった俺はかなり驚いたけど、俺よりも驚いてどん底まで落ち込んでる奈子を見ると、そこにつけこむ気にはとてもなれなかった。

俺は『状況報告』をする、という中途半端な立場で彼女の近くにいることにした。


そんな俺の気持ちは奈子以外の人にはバレバレで、奈子が何故気づかないのか、いつも疑問だった。

…だって、奈子のお母さんにまで気づかれてしまっていたのだから。

奈子の家に行くようになってしばらくして、おばさんが俺に「純くんのことは信用してるけど、年頃の娘の部屋に上がり込むのはどうかと思うんだけどな?」とやんわり釘を刺してきた。

「奈緒子のこと、大切だと思ってくれてるなら、部屋に居てもいいよ。…どうなのかな?」


とも言われ、彼女に想いを伝えるよりも先に、彼女のお母さんに告白をするはめになったんだ……。


***

「おい、奈子。奏、別れたぞ。」

奏が彼女と別れたと伝えたのは、ちょっとした賭けだった。

こんなに側にいるのに、俺の気持ちには全く気づかない奈子。

また、奏の所に行こうとしてるなら、行かないで欲しい。好きだと言うつもりだった。

しかし、小悪魔は俺の予想の遥か上を行く。