キミがこの手を取ってくれるなら


「奈子?ぼんやりしてる?」

じゅんたに話かけられて、慌てて顔を上げる。
…はっ!おとといまで記憶飛ばしてた!

そんな私を訝しげに見ながら、「お前、何か隠してないか?」とじゅんたは聞いてきた。

「な、何が?!」
まずい、どもった。

「ふーん…」
ニヤリと唇の端を上げた笑いが出た。


あ…この笑いは…まずい。

何度も見てるはずなのに、全身がこわばって、心臓がドキドキ跳ねる。


「お前、全部表情に出るんだよ。分かりやすいヤツだな。ほら、言ってみ?」


魔王がせまってくる。


私は、覚悟を決めて…


じゅんたの頬を両手で挟むと、そっと引き寄せて、自分から口唇にキスをした。

驚いているじゅんたの顔を見るのも恥ずかしくて、そっと耳元で囁くように言ってみる。


「もう、一生、じゅんたとしかしない」


私は、生涯あなたのもの、と言う気持ちを込めて伝える。心も、身体も、何もかも……

だから、「何でも言い合う」って誓ったばかりですけど……

……1つくらい秘密を持ってていいですか?

20年も想い続けた初恋の人との最初で最後の秘密だから。


持ってても…いいよね?