キミがこの手を取ってくれるなら


おととい、奏ちゃんに告白をした後、別れ際に実は奏ちゃんからもある告白をされていた。

「結婚前の最後の告白、だな。今の奈緒になら話しても大丈夫そうだし、ね」と愉しそうに言いながら。


「実は俺、奈緒にキスしたことあるんだよ。」

……えっ?!

驚いて固まっている私を見て、ククッと奏ちゃんは笑っている。

「…ち、小さい頃とか??」

覚えてないくらい昔のことなら、ノーカウント……でしょ?……でも、ハグした記憶はあっても、キスをしたことはなかったような気がする。


「いや、そうじゃなくて。奈緒が純と俺の家に泊まった時」

…がっつりカウントされてしまいました。


「奈緒があんまり可愛く無防備に寝てるからさ、まぁ…俺も男だしね。つい」

つい、って…


そう言えば、明け方誰かにキスをされた夢を見たことを思い出した。…あれは現実で、キスをしたのは奏ちゃんだったんだ。


「だから、純よりも最初に奈緒にキスをしたのは…俺、だよな?」


それから、夕日よりも真っ赤に染まっているだろう私の顔を見て、その反応を楽しみながら、奏ちゃんは人差し指を唇に当てて「シーッ」というポーズをした。


「秘密だよ」

二人だけの秘密、な。
そう言って奏ちゃんはにっこりと微笑んだ。


こうして、二人だけの小さな秘密が生まれた。
奏ちゃんは、やっぱり罪なオトコだ。