キミがこの手を取ってくれるなら


「あのさ…」
じゅんたが言いにくそうに口を開く。

「奈子って…その…俺が初めてなのか?」


「はぁ?」

それを聞いた私の口から何とも間の抜けた声が出た。

…昨日の夜のこと覚えてないの?!
…まさか、いちいち確認して、恥ずかしがる様子を楽しむつもりとか?!

魔王の考えてることが、分かりません!


「何を今さら…」


「あ、いや、そうじゃなくて…全部初めてだったのかと思って。…キスとかも…」

そんなにたどたどしかったのかな…?

私もちょっと恥ずかしい気持ちになりながらも、「ううん。キスはしたことあったよ」と答えた。

「高校の時の彼氏としたのかー。」

なんて残念そうに言ったじゅんたの横で密かに私は冷や汗を流していた。


昨日の奏ちゃんの仕草が目の前に蘇る。
人差し指を唇に当てたあの仕草…

言葉は発しないけど、口唇がゆっくりと動いてある言葉を紡ぐ…


『秘密だよ』 と。