キミがこの手を取ってくれるなら


「式の前日に奏ちゃんと二人きりで話をさせて欲しいんです」

「どうして?」

「告白しますから」


ストレートな私の言い方が面白かったのか、志帆さんは大笑いした。

「奈緒子ちゃんは、ほんとに羨ましいくらい
素直ね。こっそり呼び出そうとは思わなかったの?」

「思いません。きちんと志帆さんに話を通さないと自分の気持ちには向き合えませんし、『しあわせ』にはなれませんから」

「嫌だ、って言ったら?」

「なら、一生言いません」

「真っ直ぐね…やっぱり、奈緒子ちゃんが羨ましいわ」

「不器用なだけですよ。ひとつひとつ向き合わないとたどり着けないんです」

「『告白』も向き合う為に必要ってことね。…いいわ。いつか、奈緒子ちゃんの『しあわせ』見せてね」


私も『しあわせ』にたどり着くまでいろいろとあったからね……いい機会だし、奈緒子ちゃんになら話してもいいわ、と志帆さんは自分の過去を少しだけ私に話してくれた。


小さい頃両親を交通事故で失ったこと、叔父夫婦に引き取られたこと、志帆さん自身も両親のとは別に事故に遭っていて、主に上半身の自由が効かないこと…。


「Milky Way」の人達は、夏でも長袖の制服を着ている。店内は冷房が効いているからだと思っていたけど、志帆さんの傷が目立たないように気づかってみんな長袖を着ていたのだと、今ようやく気づいた。