キミがこの手を取ってくれるなら


はじめて奏ちゃんのほんとうの言葉を聞いて、その感情を見たような気がした。

そして、今まで後回しにしてきた自分の気持ちにもようやく向き合うことができた。


「奈緒はもうずっと気づいてたんだろう?
お前の手を取って一緒に進んでやれるのは俺じゃないってことも。その手を伸ばす先も」


言葉は出なかった。代わりに、涙が自然と溢れてきた。

それは、私が奏ちゃんに初めて見せる涙だった。泣きながら私はうなずいた。「気づいてるよ」と伝えるように。


「奈緒、俺は奈緒のしあわせをいつでも願っているからね。しあわせになりなよ」


奏ちゃんはそう言いながら、まるでお兄ちゃんのように泣き止まない私の頭を、優しく何度も何度も撫でてくれた。


***


小さな頃から奏ちゃんを想って生きてきた。

純粋だと思っていた想いはいつしか「これは恋だ」と頑なに思いこむほどに歪んでいき、心の中に暗い影を落としてしまっていた。


だけど、その中に温かな光を見つけてしまった。その光は、胸の奥底に潜みながらもじわじわと広がり、暗く歪んでしまった恋心を明るく変えてしまうほどの力を持っていた。



私にとって、じゅんたはいつも明るく私を照らしてくれる光だった。




私は…私は…じゅんたのことが好きだ。