7月6日。
想いを告げようと思った日から、この日にしようと決めていた。

私は昨日、久しぶりに奏ちゃんに電話をした。

「話がしたいの」

そして今日、近所の公園で待ち合わせをする約束をした。

ここは私達の、思い出の場所。
小さい頃は日が暮れるまで遊んで、泣いたり笑ったりしてたくさんの日々を過ごしてきた。

奏ちゃんとのしあわせだった頃の思い出は、全部この公園に詰まってる。だから、終わりもこの場所にしたかった。

待ち合わせの16時まであと10分。
5分ほど待つと、奏ちゃんが現れた。

ポロシャツにジーンズだけの、ラフな格好。

久しぶりに見る奏ちゃんは髪を短くして、少しだけ大人びて見えた。


「久しぶりだね。いつ戻って来てたの?」

「あぁ、昼過ぎには家に着いてたんだよ。志帆とはもう一緒に住んでるけど、向こうも久しぶりに陽介さんと2人だけでゆっくり話したいだろうしね」

と言って、ふんわりと優しく微笑んだ。


……あぁ、やっぱり、私はこの人の笑顔が好きだ。


幼い頃、いつも胸をときめかせていたその微笑みが私の為だけに向けられることは、もう二度とない。

改めて彼と向き合って、私はこう告げた。

「奏ちゃん。……私は、ずっと、ずっと奏ちゃんのことが好きだった。はじめて会った時から。それだけは今日言っておきたかったの。」


奏ちゃんが結婚するときに、この想いにきちんと区切りをつける。これが私がずっと心に決めていた、初恋の終わらせ方だった。