キミがこの手を取ってくれるなら


私はどんなに頑張っても成績は中の上くらいで、二人と同じ高校に進学するのは難しいんじゃないかな…と半ば諦めていた。


彼女ができてから、奏ちゃんからも何となく線を引かれ、距離を置かれたのも分かっていた。


でも、距離を実感しても、心がどうしても奏ちゃんを諦められなかった。
こんな簡単に諦められるんだったら、10年以上も片想いを続けている訳がない。


諦められない、という気持ちだけで何もできず、つもり積もった想いにもがいていたその頃の私には、じゅんたが教えてくれる状況報告だけが奏ちゃんへの恋心を繋ぐ唯一の細い糸で、心の支えだった。


結局、私は二人とは別の高校に進学した。



***

高校一年生の、冬。


「おい、奈子。奏、別れたぞ。」


私が違う高校に入っても、じゅんたは暇を見つけては私に「状況報告」をしに来てくれていた。

何度聞いても彼女とは順調。お前はかわいそうなやつだなー、と変わらない「報告」に正直うんざりしていた頃、私の部屋でこたつに入り、みかんを食べながらさらっとじゅんたが驚きの「報告」を口にした。


別れた?奏ちゃんが?何と?
……もしかして、彼女と??!


驚きのあまり目を見開いたと同時に、口も開けてしまったらしい。たった今口にしたみかんがボタリと落ち、こたつ布団の上を転がっていった。

「えっ、うそ!本当に??」


「間違いないよ。奏からも聞いた。まぁ、あいつら進学も別々だし、奏は…こっちに残るだろ?」


彼女は東京の大学に進学するらしい。

奏ちゃんは、地元の大学に入る予定だと、実はこっそり奏ちゃんのお母さんから聞いていた。


「あいつ、好きなやつが側にいないとダメなタイプだからなー…」