キミがこの手を取ってくれるなら


「飲むか?」とビールを差し出されたけど、ちゃんとした頭で話をしたかったのでやめておいた。そのまま、二人でソファーに腰かける。

「で?今日はどうしたんだよ。」とじゅんたが聞いてきた。

「『今日は』って…」

「だって、お前が俺んとこ来たいって思う時って心配なことがあったり、泣きたいことがあった時だけだろ?」

確かにそうかもしれない。

「泣いてはいないな?」

じゅんたが私の目元をのぞきこむ。
その近さに、心臓が一瞬だけドキッ!と跳ねた。

「そんなにいっつも泣いてないよ。」泣き出しそうではあったけど…気恥ずかしさもあって強がるように答えてしまっていた。


「でも、今にも泣きそうな顔はしてる。」
…どうして、じゅんたには何もかも見透かされてしまうんだろう。

あんなに会いたい、話がしたい、と思ってたのに、いざとなったら喉の奥に物が詰まったように言葉がちゃんと出てこない。

「奈子。息止まってるぞ。ほら、ちゃんと息吸って、吐く。な?」

子どもに言い聞かせるように優しく話してくれる。少し息が楽になって、ふーっ、と深く呼吸をした。

「うまく説明できなくてもいいから、話してみろよ、な?」
ジェスチャーでもいいけどさ、なんて手を振りながら言うから、思わずフフッと笑ってしまってちょっとだけ気持ちが軽くなった。

意を決して口を開く。