キミがこの手を取ってくれるなら


「私が悪かった、って思ってるのはね、純くんからあなたたちのことを聞いた、って嘘をついたことと、『相手にされてない』って言って傷つけちゃった事だけ。後は、私はまだ純くんのことを好きだし、今だって振り回さないで欲しいって思ってるから、謝らないわ。」

…気持ちいいくらい、きっぱりとした宣言だった。その真っ直ぐさが羨ましいくらいに。

「私は…まだ自分の気持ちがよく分かってません。」

「自分の中にいろんな問題や葛藤があって、香織さんや…じゅんたのように真っ直ぐに自分の気持ちと向き合えません。」

「でも、中途半端なままでじゅんたの手を取ることは絶対にしたくないんです。でも、人の気持ちは変わります。じゅんたが、香織さんに気持ちを向けたとしても…」

「変わらないわよ。」

私の言葉を遮って香織さんは言った。

「実は、私、あなたの事を知ってたの。小山くんに会いに高校に来てたでしょ?私、一年の時、小山くんと同じクラスだったのよ。」

「紫とも同じクラスで仲良くなって、小山くんの所に来る純くんのことが気になりはじめたの。あなたのこと、最初は小山くんの妹かと思ってたけど、同じ中学から上がって来た子達の間では有名だったみたいね。純くんがあなたのことを好きだったってことまですぐに分かっちゃった。」

…そんな頃から知ってたなんて、と驚いた。

だから、はじめて居酒屋で顔を合わせた時に私の顔をまじまじと見てたんだ。