キミがこの手を取ってくれるなら


沖田くんのこの目…何だか見覚えがある。

そう思った瞬間、ふとある光景が甦った。

そうだ。三浦くんの目と同じなんだ…
はじめて彼の部屋に行ったあの時の…

ドンと肩を押す手、倒された背中に当たる床の感触、近づいて覆い被さってくる身体、するすると脇腹に触れ、這い上がって、胸を覆う手の平の感触……

あの時のことがまざまざと目蓋に浮かび、思い出されたその瞬間、

「いやーーーっ!!」

叫び声を上げながら、ドン!とありったけの力で沖田くんの胸を押し、私はその場にしゃがみこんでしまった。

「おい、姫?…大丈夫か?!」

「姫ちゃん?!」

北原さんと嶺岸さんが慌てた様子でこっちに向かってやって来るのがぼんやりと見えたけど、何か言葉を返す余裕なんてなかった。

心臓がうるさいくらいに脈打ち、足に力が入らなくなる。がたがたと身体が震えだした。


「お前、何したんだよ!!」北原さんが殴りかかりそうな勢いで、沖田くんのほうに詰め寄るのが見えた。

「な、何もしてないですよ! は、話をしてただけで!」沖田くんは必死に弁解している。


「姫ちゃん、大丈夫?」
嶺岸さんは私の身体を抱き締めてくれた。
彼女のつけている甘い香水の香りを嗅ぐうちに、だんだんと動悸は治まってきた。

「大丈夫…です…沖田くんも、ごめん…」

辛うじてそれだけを口にした。