キミがこの手を取ってくれるなら


「ひ、姫さん!」
慌てたように話す沖田くんに、さらに

「もう話すことは何にもない。まだ指導係だから仕事はするけど、私のプライベートにまで現れないで。二度と踏み込まないで。もう限界なの。」と追い討ちをかけるように言った。


そして撮影を続けているベッドルームに戻ろうとした時、後ろからぐっ、と強く手を引っ張られた。


えっ?と思った時にはもう遅く、私は沖田くんに背中からすっぽりと抱きしめられていた。


「ちょ、ちょっと!離して!」


こんなとこで、何してるのよ!?と思って慌てて身体を離そうともがいたけど、ますますギュッと力を入れられてしまった。


「嫌です!俺、姫さんのことほんとに好きなんですよ!!いつもは誤魔化したり逃げたりしてるのに、何で急に突き放すんですか!」

「俺は…姫さんのこと…もっともっと知りたいんです…」


人との距離を計れない私は、沖田くんに言い過ぎてしまったのだろうか。

いつもの彼の、ふざけた調子じゃない思い詰めたような声に驚いて振り返る。


その時、沖田くんの表情をはじめて見た。
彼はとても暗い目をしていた。