キミがこの手を取ってくれるなら


私は、先輩でも後輩でも、信頼できる人じゃないと一緒に仕事はできないと思っている。
この時点で、私の沖田くんへの信頼は、仕事ができるギリギリのレベルまで落ちていた。


「姫さん、ところで、昨日の彼は本当に彼氏なんですか?どんな関係なんですか?教えてくださいよ。」

取材の合間にも北原さんと嶺岸さんには聞こえないようにじゅんたとの関係をしつこく聞かれる。

もう。もういい加減にして欲しい。

「姫さん、取材、手慣れてますよねー。あ、よく2人でこういうとこ来てるから分かるんですか?」

ついに、私はキレた。

いつもはキーキーと怒りがちな私だけど、怒りが頂点に達して、わりと冷静な声が出た。

「沖田」

「はい?」
突然名前を呼び捨てにされ、驚いた様子で沖田くんは私を見る。

「あんたの事は絶対に好きにならない。信頼もできない。信頼できない人とは仕事したくない。指導期間が終わったらコンビ解消するわ。」


自分でも驚くくらいの冷たい声でそう言い放っていた。

沖田くんの顔色が変わった。