キミがこの手を取ってくれるなら


「姫さん!誰ですか!そいつ。」
いきなり手を払われた沖田くんが、ムッとした様子で私に言う。それを聞いて、

「そいつだと?」
はぁ?と言った感じでじゅんたが口を開いた。

「お前こそ誰なんだよ。おい、紫。こいつ連れてってお前平気か?」

紫ちゃんは『はい、どうぞー』と言った感じでひらひらと手を振り、「もう裕介呼んでるから大丈夫よ。奈緒子ちゃん、今日は私のおごりでいいわ」と言った。

…お姉さん!仕事が早いです!


「奈子、帰るぞ。」そう言ってじゅんたが私の手を引っ張って席から立たせた。そのまま入り口へと向かう。


その様子を呆気に取られたように見ていた沖田くんだったけど、ふと思い出したようにフフンと笑うと、「姫さーん、明日の『ホテル』の取材楽しみましょうねー。」と店中に聞こえるような大声で言った。


その言葉を聞いて「ホテルだと?」と、一瞬止まりかけたじゅんただったけど、すぐに歩き出した。そして私のほうを見ると、「ふーん。『タウン羽浦』さんは、ずいぶん楽しそうな取材してんだなぁ?」と口の端を上げてニヤリと笑った。

あ…最近優しいから、じゅんたが意地悪だってことをすっかり忘れてた。


この…この笑顔はまずい…

魔王、降臨だ……