「ん・・・」
窓から聞こえたやけにうるさいセミの鳴き声で目が覚めた。
上半身を起こし、窓を見て思わず腕で目を覆った。
その日は雲1つない晴天だった。
充電していたスマホを見る。
4/15 12:03。
いつもならさっさと飯を済ませてゲームに没頭する所だったが、こんなに良い天気だ、散歩でもしないと勿体ない気がした。
外出用の服に着替え、階段を降り、リビングに行くと、昼飯を食べていた妹に丸い目で見られた。
「うわっ、お兄がこんな時間に服着替えてるとか珍しー!今日は雪でも降るのかな!?」
「うっせーな、気まぐれだよ、こんなに良い天気だから散歩でもしようと思っただけだ」
と、焼き飯をかきこんでいると、突然妹が、
「そういや聞いたよー、お兄彼女いるんでしょ?」
と言い出すから、気管に焼き飯が大量になだれ込み盛大にむせた。
「図星だね~」
「お前っゲホッゲホッ、俺を殺す気かっ!!」
確かに数ヶ月前から恋人と付き合っているが家族にはまだ話してなかったはずなのだが。
「お前何処で知ったんだよ!!」
「ひ・み・つ☆」
イラッときたが、これ以上話してると形勢不利になるのが分かったのでさっさと外出する事にした。
「お前に話す事はねーよ!行ってくる!!」
と根掘り葉掘り聞きたがる妹を振り切り愛用のMTBにまたがり走り出した。
潮の匂いと共に爽やかな風が吹いた。
「近くの公園にでも行くか・・・」