由佳は松本先生に一連の流れをざっと説明した。

薫に告白して付き合うことになったこと、だけどそれから一切恋人らしいことをしていないこと、そしてバレンタインのこと――…。


由佳が全て話し終わると、松本先生は口を開いた。


「ふーん、それで薫が由佳ちゃんのこと好きじゃなくなっちゃったのかもって、悩んでるんだ?」

「…それもありますし、自分自身も小野寺薫を好きでいていいのかと考えてしまうんです。」

「へぇ…何で?」

「だって小野寺薫のことが好きな人は山ほど居て、しかもバレンタインで見たように、皆とても本気なんです。私が好きだっていう気持ちと、彼女たちの好きだって気持ちの違いが分かんなくて…」

「……ふむ。」

「彼女たちだって色々な過程を踏んで、色んな思いを抱えて、結果小野寺薫のこと好きになったわけじゃないですか…」

「だから自分だけが薫と一緒に居る資格はないって?」


松本先生の言葉に、由佳はコクリと頷いた。


すると松本先生はハハッと笑って口を開いた。


「由佳ちゃん、君って本当に優しい人間なんだね。」