「でも、お前は俺と違って両思いなわけだろ?もうちょっと自信持ってもいいんじゃね?」


和也の言葉に、由佳は答える。


「でも…小野寺薫に告白した日以来、私たち何も無いの。付き合う前と全く変わらなくて…」

「へぇ。」

「それに、昨日あんなことがあったのに小野寺薫は全く気にしていない感じだったし…」

「なるほど。だから薫の気持ちが自分から離れたんじゃないかって?」


和也の言葉に、由佳はコクリと頷いた。


「それどころか、最初から好きなんかじゃなかったのかも…とか思ったり。」

「そういうことね。」

「桐島は、どう思う?」

「うーん、俺もヘタレだから、同じこと思うかもな。」

「…だよね。」


その時、非常階段のドアがガチャリと開いた。


由佳と和也が驚いてドアのほうに目をやると、そこには薫が立っていた。