10年後も、キミと。

俺はその日、中学を早退して、ピアノのレッスンを受けに2つ隣の駅へ行っていた。

あの日は雨が降っていて。

楽譜が入った重いバッグを抱えて、少し憂鬱な気分で自宅の最寄り駅まで地下鉄に揺られていた。

ドアの近くでぼんやりしていたら、誰かが腕を突っついてきた。

遠慮がちに、ちょんって。


そっちを向いたら、

ゆりがニコニコ笑って立っていた。