「うん。傍にいてもらえるだけで、嬉しいよ」



この言葉は嘘じゃない。

今も傍に置いてくれるって事は、あたしにまだ傍にいるだけの存在価値があるってことでしょう?

弥月がまだ興味を持っていてくれてるって、そう思えるんだ。


あたしのこんな考え方、寂しい考え方かもしれない。

でも…そう思うしかないのも事実なんだ。




「…そうか。寂しくなったらいつでも言いなよ?男って言っても哀川君だけじゃないんだからさ」



ね?っと首を傾けた佳代にちょっぴり苦笑してしまうあたし。


あたしはまだまだ、弥月から離れるなんてできないよ。

あたしが寂しくってきっと変になっちゃうんだと思う。


例え弥月があたしと同じように思ってくれなくても…。




「さ、次移動教室だよね?理科室行こう」


机の中から教科書を出して、ニッコリ笑って佳代に言ってみる。



「そうだね。行こうか!」



あたしと同じくらいニッコリと笑った佳代に、なんだか切ない気持ちになった。

ごめんね?佳代。気を使わせちゃって…。