君の声


中学校のとき、周りはカップルだらけだった。だから、私にも簡単に彼氏が出来ると思っていたのに、結果としては出来なかった。そう、私、星野雅(ほしの みやび)は15年間彼氏がいないのだ。高校ではなんとしてでも彼氏が欲しい!
こう意気込んでみるものの、私は中学のとき、控えめな方で男子には暗いと言われ、軽くイジメられていた。その時から、男子がどうも苦手だった。男子の中でも大人しい子は私の悪口も言わないし、イジメてもこないから好きなタイプは?と聞かれると地味で大人しい子だった。
高校では絶対にそんな子を見つけてみせる!と心に誓ったのだ。


今日は待ちに待った高校の入学式。
高校は自分の家から徒歩30分の所にある偏差値もまぁまぁ良い感じの所だ。
私は、緊張と不安と期待を胸に、着慣れない少し大きめの制服を着て、胸辺りまである髪を優しく括って、家を出た。
校門には見慣れない人がたくさんいた。
私は渡された紙で自分の名前を探し、クラスと出席番号を確認した。
私のクラスは5組だった。教室に行くとすでに半分くらいの人が来ていた。
私は黒板に貼られた座席表をチェックして定位置に座った。
教室の中は床が軋む音や足音しか聞こえない。皆、周りが知らない人だらけで緊張しているのだろう。私も皆と同じで緊張しすぎで何も考えることができない。
そう言えば、私と一緒にこの高校を受けた友達、山本美里(やまもと みさと)のクラスは何処なのだろうか。私は校門で渡された紙で美里を探した。4組だということが、判明した。
同じクラスじゃないのかと残念に思っていると、知らない女の子が私をじっと見て、通り過ぎて私の後ろに座った。
なんだろう。私の顔に何かついてる?それとも制服の着方が間違ってるの?
そう、思っているとまた別の女の子が私のことをじっと見て2つ後ろの席に座った。

それから20分くらい時間が過ぎると先生が入って来て、HRが始まった。
入学式の入場の仕方、学校の規則などを教えて下さった。
先生が点呼をすると言って、一人ひとりの名前を呼んだ。
私の前の人が呼ばれた。次は私だ、と思っていると私はとばされ、後ろの人を呼び、もう一つ後ろの人を呼んでから、私の名前を呼んだ。
今、気づいた。座る席を間違っている。だから、私は後ろの2人に凝視されていたのだ。
点呼が終わってから副担任にその事を言って、席を移動した。

私はその後の入学式で自分の立たないところで立ちかけて隣の子に笑われたし、教室まで行く時の階段で転びかけるし。

最悪だった。もう、やって行ける気がしない。

最後のHRも終わり、帰ろうとすると肩を優しく叩かれた。振り返ると男の子が立っていた。
その男の子は私の方に手を出した。その手の中には私が美里とお揃いで買った、熊のキーホルダーがあった。
「…ありがとう」
と、小さな声で言うとその男の子は会釈をし、カバンを持って帰って行った。
私はその場に立ち尽くした。
なぜなら、その男の子は私の好きなタイプと言って良いような子だったから。