授業終了のチャイムが鳴った途端、僕は大きなあくびを一つした。
もう初夏だというのにまだ微かに感じる春風が窓から通り抜けてゆき、僕の体を包み込んでゆく。その感じがとても気持ちいいのだ。それはもう授業中に頬杖をついてうっとりしてしまうほど。
しかしそうなると眠気を呼び覚ましてしまうので...
なんとも罪なものだ...

そんなことを考えながらも、今日は放課後、どうしようかな、なども考える。


音楽室--今日こそ..
ひらひらと音楽室の窓から見え隠れする撫子色のカーテン。その奥のだれか。甘くてとろけてしまいそうな歌声。

考えただけで頬がみるみるうちに熱くなってゆく。
桜色をした頬を隠すように僕は教室から急いで出た。

その道行は自然へと、音楽室の見える裏庭に向かってゆくものだった。