だったらあたしは


勝手に消えていってしまう“この気持ち”なら、あたしは…………








よいしょと言いながらゆっくり立って、スカートについた砂をパンパンと叩いた。



「……よし。帰ろっか」




砂に書いた小さな小さな“気持ち”を、足でザッと消した。





波に消されるなら、自分で消した方がましだから。













次の日。



いつも通りの朝。


「葵!早くご飯食べないと遅れるわよ」


「もー!!わかってるよ!」


いつも通りのみんなの笑顔。


だけど、少しだけ空気が違うのはきっと……。


「あの、俺。皆さんに言わなきゃいけない事が」


蓮が正座をして、改まって言った。






大丈夫。
昨日さんざん泣いたから………。









「俺、この家出て行きます」